2020/6/22
代謝の悪くなる病気の人が飲むと、肌や髪や骨の代謝が上がる薬があった。
その薬は健常者が飲むと麻薬的な作用をもたらす劇薬で、医師の処方がなければ手に入らない仕組みになっている。
フィリピン人と日本人のハーフで、私にとって懐かしい知り合いである男が、一般には流通していないはずなのにどこかのルートを知っていて、とあるマンションの一室にその薬を大量に隠していた。名前は忘れたけど、確か紺色に白いラインの入った箱だったっけ。
ただでくれるというから一箱貰い、錠剤の大きさに驚きながら服用してみると、しばらく経ってから視界がグニャグニャと歪み始めた。
自分が真っ直ぐ歩けているのか自信がない。
違法行為なのかも分からないからバレないようにしなきゃ、と思い素面を装うとするが周りの視線が怖い。
バレてるんじゃないか、
何故ここに母親がいるのか
母親が何か言っている
この湯呑みはあんまり使わない方がいいよ
どうして?と訊くと
あの流行ってる薬を飲んで逮捕された芸人が使ったことあるやつだからね。縁起が悪いよ。あ、なんだもう割れてるじゃん。
ここで健常者がその薬を飲むことは違法行為なのだと知って焦る。
鞄から覗く長方形の箱を慌てて底に押し込める。
バイト先の常連さんが来た。
目が怒って三角になってるのに、ヘアアイロンについて説明してくれた。中年の男だし、髪短いしヘアアイロンなんて普段絶対使ってないのにね。
そのあとは銭湯に向かわされたけれど、多分あれはナチスのガス室だった。
記憶はそこで終わっています。