星朱音さんの日記

案外、酒酔い日記と言える。

離人症と五感のはたらき

2020/4/19

 

 

酒を飲むと体が温まる気がするのと同じで

紙に何か記すとその日は生きた心地がする。

 

そんなことを思っているうちに夜が明け、なんとなく窓を開けました。新鮮な外の空気を吸い込んでみると肺の中身がさっぱりとした気がします。今までは日光が嫌いで窓もカーテンも閉め切っていたのですが、「なんとなく」という感覚に乗っかるとラッキーな発見があるものですね。

 

 

夜が明け、今は朝の8時です。自分に対する違和感の根元を按ずるうちに段々と居た堪れない気持ちになってきました。その焦燥感から逃れるためにまるで気違いのようにその場を回って、飛び跳ねて、やがてそんなことに意味はないことを知ると急に尿意を感じて便所に向かいました。その便所の床を眺めているうちに「これを舌で舐めたら一体どんな心地がするだろうか」と想像してみると、胃がググッと縮むのを感じ、大変いやな気分になりました。この嫌悪感は実際に自分が感じたもの、換言すると他の誰でもなく自分だけが感じられる感覚です。瞬間自分と自分の分身がピタッと一致して、安心した私は新しいタバコに火をつけました。するとこの煙の苦味を感じられるのもまた世界に私だけだということがわかって感動しました。そうするともう止まりません。深呼吸をして、氷ですっかり薄まった焼酎を飲み、頬を抓って背伸びをしました。自分と自分が一つに成れたことに興奮し、じわりと笑みが溢れました。恐る恐る鏡を覗いてみるとまた知らない誰かが写っていたので落胆しつつも、それでも尚沈みきることはない程に活力が漲っています。今朝は気分が良いので近所のサンドウィッチを買いに行こう、そう決めて私はまだ読んだことのない本に手を伸ばしました。